EXAKTA VX IIa
東ドイツのIhagee社製ファインダー交換式一眼レフカメラ、EXAKTA
VX IIaです。
この前の型であるEXAKTA VXは、世界初のファインダー交換式一眼レフとして有名です。
IIaの中でも、この型は銘板がエンボス加工されており、最も人気が高いものです。
シャッターは布幕横走りフォーカルプレーン式。
ファインダーはウェストレベルとアイレベルのプリズムファインダーがあります。
写真のものはウェストレベルファインダーです。
この銘板に惚れて手に入れたと言っても過言ではありません。
厳しい騎士のような雰囲気が最高に格好良いです。
銘板の下にあるのはファインダーの取り外しレバー。
EXAKTAの特徴といえば、左側に巻き上げレバーがあること。
製作者が左利きだった、などという眉唾な話もありますね。
実のところは、顕微鏡に装着して使う場合のことを考えて左側に巻き上げレバーをつけたそうです。
ファインダーを開くとこんな感じ。
なかなか大仰です。
前から見たところ。
トップカバー左側。
巻き上げレバーは300度近く回転するので使いにくいと評判です。
慣れればなんてことないんですけどね。
巻き上げの際は、まず親指から巻き上げ始め、途中で人差し指にシフトすると良いでしょう。
巻き上げレバー下の目盛はフィルムカウンタ。
その横のボタンはスプロケットをフリーにするもの。
フィルムの巻き戻し時には押しっぱなしにしておく必要があります。
数字がたくさん書かれたダイヤルは、シャッター速度ダイヤルです。
まずレバーを巻き上げてから、赤い点に希望の速度を合わせます。
ダイヤルは引き上げて落とし込む方式(バルナックライカと同じ)なので、これまた面倒です。
左上についている矢印だけが書かれた小さなダイヤルは、フィルムカウンタ設定用です。
機械時計のリューズを巻いているような感触が気持ちいいです。
トップカバー右側。
スローシャッターのダイヤルが乗っています。
黒字がスローシャッターで、赤字がセルフタイマー。
スローシャッターダイヤルは、通常のシャッター速度ダイヤルをBかTに合わせた状態で使います。
手順としては、レバー巻上げ→BかTに合わせる→スローシャッターダイヤルを巻き上げる→希望の速度に合わせる、となります。
あとはシャッターボタンを押せばば、ジー……という音とともにスローシャッターダイヤルが回転し、設定速度で切れるはず。
ちなみに、こちらも通常のシャッター速度ダイヤルと同じで、引き上げて落とし込む方式です。
スローは1/5秒から、なんと12秒まで。
使いどころがあるのかどうか……。
その下部についているのはフィルム感度メモ用のリマインダと思われます。
底面です。
とても個性的で美しい底面をしていると思います。
ボディ左側のノブは裏蓋開閉用。
引っ張って左右どちらかに少し回すと固定され、裏蓋が開くようになります。
ボディ右側のノブは巻き戻し用。
巻き戻し時はスプロケットをフリーにするのを忘れないように。
その横にある小さなツマミは、EXAKTAの特徴の一つでもあるフィルムカッターです。
反時計回りに回すとネジが緩み、ツマミを引っ張ってやればギロチンのように内部で刃が動きます。
フィルムを任意の位置でカットすることができますが、現代ではまず使うことのない機能でしょう。
マクロ撮影用のチューブを買ったら、当時の説明書がついてきました。
もちろん中身はドイツ語です。
何が書いてあるのか分かりません。
表紙のEXAKTAはIIb型です。
裏表紙です。
IHAGEE KAMERAWERK AG ・ 8016 DRESDENという文字が見えます。
内容はこんな感じです。
いくつか装着例の写真が掲載されています。。
顕微鏡に装着するとこうなるようです。
なかなか豪快ですね。
この向きで顕微鏡を使用するなら、確かに左側に巻き上げレバーがあった方が良いでしょう。
通常撮影では左巻上げですが、顕微鏡撮影に使うときは右巻上げというわけです。
これがマクロ撮影用のチューブセット。
随分前にヤフーオークションで落札したものです。
チューブ、レンズのシャッターボタンとボディのシャッターボタンを繋ぐ連結具、ショートレリーズの三点。
Ihagee Dresdenの文字が刻まれています。
非常によくできているチューブで、当時の工作制度の高さを窺い知ることができます。
箱にはペンタコン人民公社のマークが。
■お役立ちリンク
東京レトロフォーカス デザインの時代 中山慶太氏の書くエッセイ。必読です。
ARCHIV ZEISS/EXAKTA ZEISSとEXAKTAの歴史や貴重な資料を掲載されておられます。
甲冑主義 -Exakta User's Club- 更新は停滞してしまっているようですが、EXAKTA
VXの資料が豊富です。
EXAKTA.ORG 海外のサイトですが、資料の数は圧巻。ここより充実したサイトは他にないでしょう。